KEMO CLUB Vol.4の終了後、主催のSORAMIが「主催としてどのようなタスクを担い、どのようなポリシーを持ってイベントを運営しているのか」について、自身の言葉で整理しました。
複数人でプロジェクトを進め、イベントを継続していく上で、主催が考える「舞台裏のすべて」を解き明かします。
1. 「スタッフが楽しむこと」が最大の顧客体験を作る
イベントを継続する上で、最も重要視しているのはスタッフのモチベーション管理です。 「スタッフ自身が心から楽しんで制作していないイベントは、その空気感が必ず来場者にも伝わってしまう」という強い信念があります。当日のスタッフの表情や態度、そこから漂う空気感を来場者は敏感に感じ取ります。全員が「本気で楽しむ」環境を整えることこそが、イベントそのものの体験価値に直結します。
2. DJブッキングにおける3つのポリシー
KEMO CLUBでDJを選定・ブッキングする際は、独自のこだわりを持っています。
- 社交性と選曲のバランス: 積極的にイベントを盛り上げ、来場者の反応を見ながら的確な選曲ができる人を重視しています。特に休みなく踊り続ける客層に対して、適切に緩急をつけられるスキルは不可欠です。
- 対話によるミスマッチの防止: ブッキング時には、以下の3つのポイントを丁寧に伝えています。
- 独自のシステム: 一般的な配信プラットフォーム(TopazChat等)とは異なる、KEMO CLUB独自の高音質配信システムを導入していること。
- 多国籍な客層: 日本開催でありながら世界中から参加者が集まるため、特定のカルチャー(アニメソング等)に偏らず、音楽的に耳の肥えたグローバルな層に響く選曲バランスが求められること。
- 本気への約束: 経済的な報酬は支払えないものの、出演者の名前が世に残るような全力の広報・ブランディングを行うこと。「出演者が本気なら、主催も本気になる」という約束を必ず交わします。
3. 「音楽の話」を徹底的にする
「DJイベントなのだから、音楽の話をちゃんとするべきだ」という主観的な思想を大切にしています。 各DJのおすすめ楽曲を事前に3曲ヒアリングして紹介するなど、来場者が「誰の、どのような音楽を聴くのか」を事前に理解し、安心して楽しめる動線を作っています。

4. 宣伝インフラの整備
思いつきのアイデアを瞬時に形にするため、宣伝用のテキストデータや素材は徹底的にテンプレート化し、チーム全体がいつでも参照・更新できる場所に集約しています。「ここを見れば必ずデータがある」というインフラ作りが、突発的なクリエイティブのスピードを担保します。



5. 配信(OBS)のシステムデザイン
配信まわりは、誰に引き継いでもすぐ回せる設計を心がけています。
Twitch配信: オペレーターが上から順番にシーンを選択していくだけで進行できるUI設計。アセット類はすべてネットワーク上から参照し、JSONファイルひとつで誰でも同じ配信画面を再現できるようにしました。


VJ配信: 映像合成の設定が未完了のシーンには、デカデカと「未着手」の文字を表示する工夫を施しています。画面が真っ暗なだけでは本当に設定が済んでいるか判別しづらいため、ミスを視覚的に防ぐための設計です。



6. 当日のマルチタスク業務
本番中、主催は以下のツールを同時に稼働させながら、全体の司令塔として機能しています。
- Unity: 会場の全体像と参加者の動向を観察
- TeraTerm: サーバーやワールド側のリアルタイムな動作制御
- Discord: スタッフ間の密な連絡
- OBS: 映像配信の操作
- ライティング制御ツール: 会場の照明演出の調整
- Yahoo!リアルタイム検索: SNS上の口コミやトラブルの兆候をリアルタイムに検知
これらのツールを駆使し、参加者や出演者に余計な「ノイズ」を感じさせないよう、あらゆるトラブルシューティングを裏で統括します。出演者が100%のパフォーマンスを発揮できるよう、現場のクオリティを死守することが主催の最大の責務です。
最後に。
・・・いろいろ大変ですが、僕の成長のためにも、そしてこれから新しい人と関わるときでも多くの人に受け継ぐことができてもっと素晴らしいものが出来上がっていくところをずっと見ていたい。それを願ってこんなことをしています。世の中にはプロがたくさんいて、こんなことは当たり前だと思っていたとしても、その当たり前を外から輸入し、自分たちのコミュニティに還元できるなら僕はそれが一番嬉しいことだと感じています。だから頑張ります。

